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はじめに
前回は、糖質制限に関連する用語の紹介をしてきたわけですが、「それぞれ似ているようでちょっと違う」というのがなんとなく気付いていただければ、この先の話も分かりやすいのではないかと思います。
何を制限すればよいか
「糖質制限」という言葉を文字通りに受け止めると、糖質制限だったり、炭水化物抜きだったり、主食抜きだったり、似ているようでちょっと違うけど、やっぱりだいたい同じかもしれない感じがします。
しかし、厳密にいえば、主食抜きであれば、食事の中の主食にあたる、パン麺ごはんを抜くということになります。
また、炭水化物抜きとなると、主食のパン麺ごはんは炭水化物が多い食品と考えてよいでしょう。
他にも芋類や豆類(大豆はちょっと別かな)も炭水化物が多い食品です。
さらに果物類も炭水化物多めと考えてよいかもしれません。
糖尿病食事療法に使う「食品交換表」では果物は炭水化物の多いグループです。
糖質制限となると、炭水化物の中でも、食物繊維はOKで、糖質だけ制限するということになります。
大概の炭水化物の含まれる食品は、糖質も食物繊維も両方含まれているので、現実には糖質≒炭水化物なのかもしれません。
ちなみに、砂糖や蜂蜜、シロップなどは糖質のみで食物繊維は含まれていないです。
しかし、世で言う糖質制限はこれら甘味料を抜くだけというわけではないのです。
そもそも、「抜き」とか「制限」とか言っているのは、痩せるための方法として言われているものなのですが、「主食抜き」についてちょっと考えてみると、この言葉に従えば主食さえ食べなければよいよいうことになるので、きっとデザートは食べてよいことになりかねないでしょう。
そういう抜け道もありそうな表現です。
「炭水化物抜き」は、きっと主食もデザートも抜きになるでしょう。
大概のデザートは甘いものなので、甘さのもとは炭水化物ですから。
さらに芋類や果物類など炭水化物が多めのものを抜くかもしれません。
ただ、食物繊維も炭水化物なのです。
食物繊維はきちんと摂ったほうがよい成分です。
5大栄養素と良い言われますが、食物繊維は6番目の栄養素と言われることもあるくらい重要な栄養素です。
(5大栄養素の一つが炭水化物で、食物繊維は炭水化物なのでそこに含まれてるじゃない?と突っ込みたくもなりますが、それでも6番目の栄養素と言われることがあるということはそれだけ重要ということだと私は理解しています。)
出展:https://www.kango-roo.com/ki/image_174/
食物繊維の特徴・役割をざっと並べると、以下のようになります。
・水分を吸収し、膨張する
・消化されないため、エネルギー源にはならない
・腸内細菌が分解し、有益なビタミン類などを合成する
・腸の蠕動運動を促進し、便通を整える。
・発癌物質、コレステロールを吸着して排泄する
・ナトリウムの排泄を促し、血圧上昇を抑制する
・血糖値やコレステロール値の上昇を抑制する。
食物繊維は、上記のように言われていますが、他にもまだまだいい効果があるかもしれません。
1000キロカロリーあたり10g程度摂取が目安とも言われています。
そうなると、「炭水化物」を過度に制限するのはいかがなものかと思います。
であれば「糖質」だけ抜けばよいのではないでしょうか?
しかし、食品中にはいろいろな栄養素が入っているので、糖質のみを制限して、他の栄養素は不足なく摂取するというのはそう簡単ではなさそうです。
体内での糖質の役割を考える
炭水化物のうち、食物繊維については述べましたが、糖質はどんな役割をしているのでしょうか。
糖質はエネルギー源です。そして脳はエネルギー源として糖しか使えないのです。
脳へのエネルギー供給が十分に行われないと認知症のリスクが高まるとも言われています。
グルコース(ブドウ糖)は血糖として血液中に一定量存在しています。
エネルギーが必要な臓器などにすぐに供給するためです。
エネルギー源となる糖質が十分に食物などから供給されないと、体内のタンパク質を分解して糖質を作り出します。こうなると筋肉の減少につながってしまいます。
しかし、糖質の摂取が多すぎて血液中の糖の量が増えすぎると高血糖状態、即ち、糖尿病となります。
糖質制限は良いのか悪いのか?
これまで色々と糖質制限について紹介してきましたが、私にとっての答えは、「人による」ということではないでしょうか。
どういうことかというと、
・太っていると思いますか?
・BMIはいくつですか?
・体脂肪はどのくらいですか?
・男性ですか?女性ですか?
・何歳ですか?
・3食食べていますか?
・食事の時間は何時ごろですか?
・間食はしていますか?
・日ごろから運動をしていますか?
などなど、これらが全く同じという人はなかなかいないでしょう。個々に違うのに、同じことをした場合、皆が同じ結果になるかというと、ならないのではないでしょうか。
本当に減量が必要なのか?
まずは、本当に減量が必要なのかどうかを考えます。自分で自分の体型をどう思っているかではなく、きちんと数字を見て判断することが大切です。
数字で見て肥満の判定になれば減量したほうがよいでしょう。生活習慣病予防になります。
ただ、肥満でもないのに減量するのはあまりおススメできません。特に若い女性はまさにそうです。
なんとなく痩せてるほうがキレイだとかで痩せようとする人も多いかと思いますが、後々、よくないことが起こるかもしれません。不妊や低出生体重児、骨粗鬆症など、痩せていたり十分に栄養素が摂取できないでいると起こりうることです。
あとは現時点で肥満でなくても、ここしばらくで明らかに肥満に近づいているという場合も減量もしくはこれ以上にならない努力は必要です。
次に考えることは食事も含めどんな生活をしているか。エネルギーの収支バランスがとれているかをチェックします。カラダに必要な栄養素をきちんと取り入れ、余分なカロリーは消費し、エネルギーの過剰摂取にならないようにします。
あまり活動しないからあまり食べないとなってもいけません。栄養不足にならない程度にします。エネルギー消費だけでなく、筋力維持のためにも体を動かすことは大切です。筋肉が多いと消費エネルギーも多くなります。
また、高齢になるほど筋力をつけるのは難しくなるので、身体機能維持のためにも筋肉はしっかりキープです。
糖質の摂り方による血糖値の上がり方
さて、食事について詳しくみていくと、糖質の摂り方はどんな糖質を摂っているかで太りやすい太りにくいがあるのです。
血糖値の乱高下が激しいと脂肪が身体につきやすくなると言われています。
グルコース(ブドウ糖)などの単糖類はすぐに体内に取り込まれるので血糖値が上がりやすいです。
反対に、でんぷんなどの多糖類は、分解されて小さくならないと体内に取り込まれないので、血糖値は急には上がりません。
食べる順番もベジファースト(野菜を先に食べる)やカーボラスト(炭水化物を後に食べる)など、糖質をよりも他の物を先に食べると血糖値の上昇が緩やかになると言われています。
まとめ
今回は、糖質制限の良し悪しについて考えてきました。
人によって異なる体質や食生活に対して、人に合わせたやりかたをしていかないと、場合によっては効果がないこともあることが分かっていただけたかと思います。
次回は、いざ糖質制限を行うにあたってどうしていけばよいかを考えていきます。