24時間365日の連続稼働

自宅のパソコンを使用してサイト構築をする場合、いくつかの非常に重要な注意事項があります。サイト構築の初期の頃は、テスト的にサイト構築を始めることもあると思います。テスト的なので、ノートパソコンや、古いパソコンを使用することもあるでしょう。一時的にこれらを動作させる程度であればそれほど重要ではありませんが、自宅のパソコンをサーバーとして運営させる場合、次の注意事項を絶対に守ってください。
なお、これはWebサーバだけの話ではなく、サイト運営とは別にファイルサーバーやメールサーバーなど、24時間365日常に稼働させるパソコンで共通の注意事項になります。

 

絶対にしてはならないこと

連続稼働させるパソコンについて、絶対に「してはならないこと」は何だと思いますか?それは、ノートパソコンや小型のデスクトップパソコンをサーバー目的で使用しない、ということです。
なぜかというと、一般的にノートパソコンや小型のデスクトップパソコンは、24時間365日連続稼働させることを保証していないからです。
パソコンは、CPUやメモリ、ディスクなどが電力を使用して稼働しています。つまり、電力を消費して、仕事をしているわけです。その結果、電力は熱へと交換されます。
ノートパソコンを使用していると、パソコンの側面や底面が熱くなっていることを経験された方は多いと思います。また、ノートパソコンの場合、ACアダプターも熱を発します。

発火のリスク

少々の連続稼働では、それほど問題にはなりませんが、長時間連続稼働すると、「発火」のリスクが高くなります。
参考ですが、以下のページに、ノートパソコンをサーバーとして使用したために火災になってしまった事例が書かれています。(http://www.hotel-raj.si/hr)

通常、パソコンの中で最も熱を発するCPUは、100℃を超えないように制御されています。ノートパソコンなら、もっと低い温度かもしれません。
しかし、長時間稼働させていると、ホコリが内部に侵入し、排熱能力がどんどん下がってきます。その結果、熱がパソコン本体の部品全体に溜まるようになることがあります。温度が高くなると、僅かな静電気などをきっかけに、可燃性のもの(ホコリなど)に引火しやすくなります。
また、ACアダプターは、発火のリスクが高い部品です。メーカーやメーカーの製造工程における品質にもよりますが、例えば以下の例のように、材料の劣化によって発火・発煙に至ることもあります。
東芝:ACアダプター交換・回収プログラムに関するお知らせ
https://acadaptercheck.toshiba.com/AdapterUpdate/InformationJapan?region=TJPN&country=JP&lang=ja

また、小型のデスクトップパソコンも、ノートパソコン程ではないですが、連続稼働させると吸い込んだホコリが僅かな静電気で発火することもあります。なぜなら、小型化することで排熱能力があまり高くない構造になっているからです。一般的にパソコン自体は発火することはほとんどありませんが、パソコンの周辺(特に電源回り)は注意が必要です。ある時突然、材質の劣化によりショートが発生し、発火する可能性があります。

このように、排熱能力の低いパソコンや古いパソコン(中古のパソコンパーツも注意が必要)は、長時間連続稼働させるような使い方はしないようにしてください。もしも、外部からのアクセスによってパソコンの負荷が高くなった場合(例えばWebサーバーとして使用していた場合にアクセス数が急増した場合など)、思わぬ高負荷で発熱量が急増して、発火のリスクが高まります。

また、パソコンに使用しているコンセントにも注意をしてください。特に建物が古い場合、コンセントそのものが火災のリスクにもなっていますし、タコ足配線や古い電源タップなども火災のリスクになっています。
連続稼働させるパソコンは、できるだけ火災のリスクがなくなるよう、電力の余力や配線や電源部品ができるだけ新しいものを使用してください。

では、どうすればよいか

火災のリスクを完全になくすことは難しいです。考え方によっては、自宅でサーバー運営なんてすべきでない、という考えに行き着くこともあるでしょう。
しかし、自宅サーバーでしかできない低コストな運営や自由な運用もあります。
当サイトの管理者は、10年以上自宅サーバーの運営をしていますが、このようなことを常に注意し、パソコンの掃除や部品の交換など、比較的マメにメンテナンスをしています。(これは、筆者が自作パソコンが趣味であることから、こういったメンテナンスも趣味の一環ではあります。)
自宅サーバーを運営するためには、きちんと対策・管理・監視をしてください。少なくとも何日も自宅が無人になるような場合は、念のためにサーバーを停止するくらいのつもりでいたほうがよいでしょう。

なお、当サイトの自宅サーバー(自作パソコン)で気を付けているのは以下の事項です。
・パソコンのケースは排熱能力のある大き目のものを選択
・中古パーツは使わない
・ファンを多めに実装(特に排熱重視)
・3年を目安にパーツを最新に入れ替え
・毎月1,2回パソコンを清掃(ホコリをほぼ完全の取り除く)
・パソコン内部の温度やケースの温度をチェック(ほぼ毎日)

また、当サイトでは、運営費の捻出のために仮想通貨のマイニングも行っています。
仮想通貨のマイニングは、CPUやGPUをほぼ100%使用していますので、かなりの発熱があります。ですので、余計にパソコンの稼働状況を念入りに監視し、メンテナンスをしています。

自宅サーバーを運営する方は、是非とも、十分なリスク対策をしていただきたいと思います。